2009年8月に長野市戸隠でミツバチの大量死が1件発生し、県農政部が死骸から国内外で広く使われているネオニコチノイド系農薬を検出していたことが18日、分かった。同部は「この農薬が大量死の原因となった疑いがある」としている。同部によると、県内では他にもミツバチの大量死が起きており、同様に農薬が影響した可能性もあるとみている。 09年8月に大量死が起きたのは、県養蜂協会副会長の依田清二さん(69)=長野市松代町西条=が、同市戸隠の林に置いた巣箱。約120個の巣箱の外で80万匹ほどが死に、被害額は約100万円に上ったという。 県がミツバチの残留農薬を調べたところ、カメムシ防除に使うネオニコチノイド系農薬のジノテフランを1匹当たり0・0045マイクログラム検出。依田さんが管轄する農協に確認したところ、近隣の水田で粉状のネオニコチノイド系農薬が使われていた。 県農政部のまとめでは、ミツバチの大量死は依田さんのケースの他、06~09年に北安曇郡小谷村、中野市、長野市鬼無里、同市戸隠、上高井郡小布施町、木曽郡南木曽町で計8件発生。同部は「原因は不明だが、農薬が影響した可能性もある」としている。 依田さんは「ミツバチが大量に死に、実際にネオニコチノイド系農薬が検出された。国は使用中止を決めてほしい」とする。佐野友治・県養蜂協会長(安曇野市)は「農家に農薬散布の中止は求められないので、農家と情報交換を進めて被害を予防していきたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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