飯田市龍江に伝わる人形浄瑠璃「今田人形」(国選択無形民俗文化財)の特別公演が22日夜、地元の大宮八幡宮の境内にある「今田人形の館」で開かれた。今田人形保存会の総会に合わせて、地元有志でつくる今田人形座が熱演。境内に雨上がりのひんやりとした空気が立ち込める中、保存会員や地元住民ら約30人が見入った。 演目は、主人公「お七(ひち)」が恋人のために火あぶりの刑を覚悟して火の見櫓(やぐら)の鐘を打ち鳴らす「伊達娘(だてむすめ)恋緋鹿子(こいのひがのこ)お七火の見櫓の段」。演じる姿を身近に感じてもらえるよう、特別公演では顔を隠す黒い衣装を着けずに演じる。観客たちは座員たちの真剣な表情にも注目していた。 同人形座によると、10年近くは新しい座員の加入がなかったが、本年度は新たに3人が加わり20人となった。座長の沢柳太門さん(71)は「明るい光が見えてきた。10年、20年先のリーダーとなる若い座員を増やしたい」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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