県は29日、諏訪市郊外で4月に起きた大規模火災の延焼地で、火災の影響を調べる植生調査を始めた。大学教授でつくる「霧ケ峰生物多様性研究会」(代表・土田勝義信大名誉教授)に委託。既に諏訪市と同市教育委員会が調査を始めており、主要な調査が全て始まった。 同市教委は、延焼した国天然記念物の踊場(おどりば)湿原で植生への影響を調べるモニタリング調査を実施。火災原因となった「火入れ」事業の事務局を務める市も、湿原以外の延焼地で調査を始めている。 県の調査も湿原以外の延焼地で行う。県などでつくる「霧ケ峰自然環境保全協議会」は、草原の再生・保全に向けて具体的手法を示す「霧ケ峰自然保全再生実施計画」を作成中で、諏訪市側の調査結果も踏まえ、計画の見直しが必要かを検証する。 この日は、同研究会の大窪久美子・信州大農学部教授が茅野市内の延焼地に2メートル四方の調査用区画を設置。燃えた場所と燃えていない場所、周囲を鹿の防護ネットで囲った場所と囲わない場所の4種類に分けて植物の種類や数を調べ、来年1月末までに県に報告する。 県環境保全研究所(長野市)もほぼ同じ場所で植物の回復状況や土壌成分を調べるモニタリング調査を近く始める予定で、4年間続ける。大窪教授は「火入れ後のデータをしっかり取り、実施計画を見直すべきか考えたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧