県内で昨年、特殊詐欺の被害に遭った人を対象に県警が初めて実施したアンケート調査で、回答者の6割余りが「自分はだまされないと考えていた」ことが13日、分かった。金融機関で職員に声を掛けられた人の9割近くが犯人を信用したまま結果的に被害に遭っており、特殊詐欺防止の意識が浸透していない実態が浮かび上がった。 アンケートは県警が昨年認知した全被害者195人を対象に、昨年11月から今年1月にかけて電話や面接で実施し、129人から回答を得た。 被害を受けるまで、「自分はだまされないと考えていた」人は62%、「詐欺について考えたことがなかった」人は28%を占めた=グラフ。一方で、結果的に犯人を「信用した」(「完全に」「ほぼ」の合計)は111人に上り、全体の9割近くを占めた。 金融機関で多額の現金を引き出そうとしたり、犯人の指定した口座に現金を振り込もうとしたりして、職員らから注意の声掛けを受けた人は全体の4割余りの55人いたが、うち47人は犯人を信用しだまされていた。 生活安全企画課は「犯人は身の上話を会話に挟むなど巧妙。銀行の職員に声を掛けられた場合の受け答えを指示する犯人もいる」と指摘。被害防止には、自宅の電話が非通知の着信の場合に受けないように設定するなど、まずは犯人からの電話を受けない対策が必要だ―としている。 同課によると、昨年1年間に認知した特殊詐欺の被害額は2004年の統計開始以来最多の10億8800万円に上った。(長野県、信濃毎日新聞社)
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