県テクノ財団(長野市)は10日、県内の自然環境やみそなどの伝統食に生息する酵母と乳酸菌を研究し、産学官の研究開発プロジェクトの立ち上げを促す「酵母・乳酸菌の新しい利用方法を考える研究会」の初会合を長野市内で開いた。県内食品メーカーの研究者などを対象に、大学教官らを講師に招いた講演や交流会を定期的に開催。発酵食品の製造が盛んな県内で、民間企業の技術と大学などの研究成果を融合させる場とし、新たな事業展開を後押しする。 この日は九州大(福岡市)の善藤威史(ぜんどうたけし)助教(応用微生物学)らが講演し、食品メーカーなどから46人が参加。善藤助教は乳酸菌が生産する抗菌性の物質「バクテリオシン」について、手指用の殺菌洗浄剤や牛乳房炎の予防・治療剤といった分野で応用研究が進んでいることを紹介した。 参加者の一人で養命酒製造(駒ケ根市)中央研究所の筒井康貴研究員は、主力の薬用養命酒製造に使う微生物の有効活用を模索しているとし、「(研究会で得た知識を)自社の技術ともマッチさせ、将来の事業ビジョンを築きたい」と話していた。 次回は来年1月23日、信大工学部キャンパス(長野市)内の信州科学技術総合振興センターで開き、抗アレルギー作用を持つ天然酵母などをテーマにした講演会を計画している。参加無料。(長野県、信濃毎日新聞社)
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