外国人誘客に力を入れる北安曇郡白馬村で28日、外国人観光客のマナー違反や犯罪への対応を話し合う「外国人共生対策会議」が初めて開かれた。国内の観光客が減る中、村の観光にとって外国人客は頼みの綱だが、トラブルも増えているとされる。異なる文化を持つ外国人とどう折り合って暮らしていくか、地域の新たな課題になっている。 会議は村と大町署が呼び掛け、観光関係者や区長らを含む約20人が出席。同署は、外国人をめぐる問題として、飲食店で暴れる、深夜まで屋外で騒ぐ、宿泊先でないホテルに入り込んで泥酔して寝入る―などの事例を紹介。出席者からは狭い道でスピードを上げて車を運転する、民家前に駐車する―などの苦情が増えているとの報告があった。 同署によると、外国人客によるけんかなどのトラブルや犯罪は、村内でことし既に15件あった。25日には飲食店に止めてあった車を盗んだとして、盗みの疑いでスキー観光で訪れた30歳と21歳のオーストラリア人の男2人を逮捕した。 約20年前に年間270万人を超えていた村内へのスキー客は、昨季まで3季連続で100万人割れ。一方で外国人宿泊者数は2011年に県内市町村で最多の延べ5万6千人余りと、5年前から2万人以上増えた。村内で働く外国人登録者数も今月1日時点で283人に上っている。 会議で太田紘熙村長は「外国人観光客の経済効果は村にとってかつてなく重要」と指摘。出席者からはパトロール強化やトラブル情報の共有などが提案された。村長は「取り締まりの強化だけで解決できる問題ではない」と述べ、村は次回以降、永住外国人にも参加を求めて共存の道を探るとした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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