県立特別支援学校寄宿舎の元指導員男性(30)=懲戒免職=が女子生徒にわいせつな行為をしたとされる事件で、県と県教委が設置した「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」の倫理向上専門部会(5人)は5日、県教委の再発防止策は不十分だとして、独自に調査チームをつくってより踏み込んだ対策をまとめる方針を決めた。県教委事務局の再発防止策を受け入れた県教育委員への批判も噴出し、部会報告書に教育委員の果たすべき役割を盛り込むことも決めた。 同部会はこの日、報告書をまとめて活動を終える予定だったが、新たな調査に着手する異例の展開となった。 元指導員は昨年9月中旬の夜間、寄宿舎で女子生徒1人にわいせつな行為をさせたとして、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)の疑いで書類送検された。 同部会はこの日、会合を一時非公開にして県教委から事件の説明を受けた。寄宿舎の女子の部屋に鍵を付け、廊下にセンサーライトを設置すること、女性指導員が女子の部屋で寝ることなど、再発防止策の説明も受けた。 これに対し、大久保和孝部会長(公認会計士)は再発防止策について「物理的防止策だけで、人や組織といった構造の問題に踏み込んでいない。表面的で十分な内容にはとても見えない」と批判。これを県教育委員が認めたことも疑問視した。 このため、部会として踏み込んだ再発防止策を提案する必要があるとして、部会の一部委員と特別支援教育の専門家で調査チームをつくることを提案。元指導員や同校の校長、被害者側などへの聞き取りをする方針だ。 大久保部会長はまた、教育委員制度の形骸化が指摘されていることにも触れ、「教育委員の果たすべき役割を明確にすべきだ」と述べ、部会報告書で具体的に教育委員や教育委員会のあり方を提示することも決めた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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