阿部守一知事は6日、特別豪雪地帯に指定されている県内10市町村を対象に、自力で除雪が困難な高齢者宅の雪下ろしなどを担う「雪害救助員」の人件費の補助額を引き上げる方針を示した。県危機管理部によると、引き上げは1994年以来19年ぶり。来年度当初予算案に関連経費を計上する。 過疎高齢化に伴い豪雪地帯の救助員確保は困難となっているといい、県特別豪雪地帯指定市町村議会協議会(会長=久保田幸治・飯山市議会議長)が同日、補助額引き上げを要望。それに対し阿部知事が増額を明らかにした。 同部によると、雪害救助員の人件費は原則、県と市町村が半額ずつ負担。市町村側が独自に金額を上乗せするなどし、賃金を引き上げることもある。県は現行1日当たり5500円の補助額の上限を来年度から6500円に引き上げる方針。県と市町村が半額ずつ負担した場合、救助員の1日の賃金は1万1千円から1万3千円に上がる。 補助対象はこれまで屋根から雪を下ろす手作業だけだったが、来年度からは玄関から生活道路までの除雪、除雪機を使った作業も加える。 同協議会の要望に対応した知事は「今までは雪による家屋の倒壊を防ぎ、人命の安全を守るという防災の観点が強かった。福祉施策としての観点も加え、特別豪雪地帯での高齢者らの冬季の生活を保障する事業という形で再構築したい」と述べた。 特別豪雪地帯の10市町村は長野市、飯山市、上水内郡信濃町、下高井郡山ノ内町、野沢温泉村、木島平村、下水内郡栄村、上高井郡高山村、北安曇郡白馬村、小谷村。 飯山市では現在、雪害救助員の1日の作業に対し、県からの5500円に加え、市負担7300円、受益者負担3200円の計1万6千円を支給している。来年度から県補助額が上がる見通しとなったことを受け、市保健福祉課は、支給額を引き上げるか、受益者負担を減らすかなどを含め、「今後、検討したい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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