JR東日本と県は12日、首都圏から県内への移住促進で連携すると発表した。同社初の取り組みで、長野新幹線佐久平駅の地元、佐久市を先行モデルとして他地域に先駆けて適用。同社は5月以降、佐久市に移住を検討する人の「お試し(下見)ツアー」を廉価で実施。移住後も、首都圏と往来しやすいよう新幹線を含む鉄道料金を割り引く。 2015年3月予定の北陸新幹線金沢延伸を見据え、同社と県は昨年秋から、新幹線を活用した広域観光など地域活性化策について意見交換。移住促進策はその過程で具体化した。 割引などを受けられるのは、同社運営の「大人の休日倶楽部(くらぶ)」の会員。50歳以上がJR料金を最大3割引きとなるが、移住者はさらに割り引く予定。会員の家族や友人に対象を広げることも検討している。移住者が、首都圏にいる親族や友人と引き続き交流しやすいよう支援する。 この日、都内のJR東日本本社で、阿部守一知事、柳田清二佐久市長と共同記者会見した同社の原口宰(つかさ)常務営業部長は「他県の新幹線沿線自治体でも検討しているが、長野県と佐久市の熱意が大きかった」と説明。県とJRの検討で、移住受け入れ事業に積極的―などの理由から佐久市を対象にしたという。 柳田市長は、市内の空き家を把握して希望者に情報提供する「空き家バンク」を2008年に始め、現在までに119世帯・222人が同事業を通じて移住しているとアピール。阿部知事は「佐久市でまず成功事例をつくっていきたい」とし、県も希望者への問い合わせや相談などを実施していく。(長野県、信濃毎日新聞社)
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