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内視鏡手術、撮影お任せロボ 信大繊維学部教授ら開発

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 信大繊維学部(上田市)の西川敦教授(45)=ロボット工学=らのグループが、内視鏡手術の際に患部の映像を自動撮影するロボットを開発した。カメラを動かす撮影助手の医師が不要になり、執刀医1人での手術が可能となる。同手術では、遠隔操作で自動撮影に加えて患部の切除や縫合を行う高額のロボットが大型病院を中心に使われつつあるが、手術自体は医師が行うのを前提として機能を自動撮影に絞ることで価格を大幅に抑えた。大阪市の医療メーカーと共同研究しており、医師不足の中小病院などに導入を進めたい考えだ。  一般的な内視鏡手術は、患者の腹や胸に小さな穴を数カ所開け、1カ所にカメラを、別の複数の穴に手術器具を差し込み、画面に映った患部の様子を見ながら行う。開腹、開胸手術に比べて傷口が小さく、手術後の痛みも少ないとされる。従来の手術では、執刀医の指示に従って撮影助手がカメラの向きを動かしながら進めている。  西川教授らが開発したロボットは高さ50センチ、重さ580グラムほど。6本が束のようになっている棒状の装置を水圧で伸び縮みさせ、体内に入っているその先のチューブの先端にあるカメラの向きを変える。制御するコンピューターとつながる別のカメラが体外にあり、執刀医の手の動きを撮影。手の動きが大きいと安定した手術ができておらず、見やすい視野が確保できていないと判断し、安定するまで体内のカメラを動かすプログラムも組み込んだ。  昨年までに5例の豚の手術に成功。熟練した助手が撮影を担当した際とほぼ変わらず、胆のうの摘出や胃の切除ができたという。同教授は「ロボットは疲れず、手ぶれもないので手術の効率が上がる」と説明。ことしは県内外の病院に呼び掛け、初めて人間の手術で使いたいとする。  価格は「導入時に数百万円、手術ごとの交換機器が数万から10万円程度」(同教授)と見込む。信大病院(松本市)などで導入されている米国製ロボット「ダ・ヴィンチ」は手術全般を遠隔操作で行い、自動撮影した映像を立体的に表示できるものの、大阪市の販売代理店によると1台3億~3億6千万円。同教授は「簡単な手術ならば撮影を自動化すれば十分で、医師不足を補うことにもつながる」と期待する。  大阪工業大(大阪市)で手術ロボットの開発に取り組んでいる河合俊和・准教授(39)=医療ロボット工学=は西川教授らの開発について「小規模な病院で普及が進めば、大都市と地方の医療格差を縮められるのではないか」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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