上田市民らの有志でつくる「山極勝三郎博士顕彰会」が、同市出身の医学者山極勝三郎博士(1863~1930年)の生誕150周年記念誌を作った。同会代表幹事の酒造会社会長岡崎光雄さん(75)=上田市中央4=と、幹事の元小学校教諭神田愛子さん(64)=同市本郷=が編集。世界で初めて人工がんを発生させた博士の功績や生涯を約100枚の写真と文章で紹介している。 市立博物館や、博士が所属した東大医学部から写真を借りた。両側を表紙にして、横書きと縦書き2種類の本を合わせる形にした。横書き側は岡崎さんが手掛けた「山極勝三郎博士とその人脈」。ドイツ留学時に師事した病理学者ウィルヒョウ、ウサギの耳にコールタールを塗る実験を共にした弟子の市川厚一(こういち)ら関連する32人を取り上げた。 縦書き側は神田さんが担当した「上田市出身の偉大な医学者山極勝三郎博士」。13章に分けて博士の一生をたどった。同市大手1の市第二中学校の場所にかつてあり、少年時代に学んだ上田第一番小学校(松平学校)校舎や、東大医学部教授として学生に解剖を指導する様子の写真を載せた。 岡崎さんは「ノーベル賞候補にもなった博士の功績を知ってほしい」、神田さんは「写真を多く使って読みやすくしたので、多くの人にぜひ読んでもらいたい」と話す。顕彰会はことし10月、生誕150周年記念シンポジウムを市内で開く予定。 記念誌はA4判60ページ。県の地域発元気づくり支援金も利用して300部を印刷した。非売品で、市内の全小中学校や上田小県地域の高校、県内全域の図書館100カ所余などに贈った。(長野県、信濃毎日新聞社)
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