北朝鮮の拉致被害者横田めぐみさんの父滋さん(80)と母早紀江さん(77)が3日、長野市内で講演した。滋さんは、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射実験予告を受け、昨年12月に拉致問題などに関する日朝局長級協議が延期されたと指摘。「早く交渉を再開し、(被害者が)何人でもいいから帰ってきてほしい」と訴えた。 滋さんは、拉致被害者5人の子どもらが2004年に帰国して以降、「拉致問題は大きな進展がない」と強調。交渉をしない政権もあったとしつつ、「北朝鮮側は交渉をしたがっている」と述べて政府の交渉再開に期待した。 一方、早紀江さんは「なぜ解決できないのか不思議で仕方ない。あの子(めぐみさん)のために、多くの拉致被害者のために、祈りながら毎日を過ごしている」と話した。 早紀江さんは、めぐみさんの娘キム・ウンギョン(ヘギョン)さんにも言及。「すぐにでも会いたいと思うが、会ったら『お母さんは死んだ』と(北朝鮮に)言わされるから(それが)既成事実になってしまう。彼女の人生がどうなるか分からない怖さもある」と複雑な心境をのぞかせた。 講演会は上田市にある教育団体「教育ネット久保田クラブ」(久保田賢一代表)ら有志の企画。約400人が出席した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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