飯田下伊那地方などの自然愛好家が研究成果を発表する「伊那谷自然史発表会」が17日、飯田市美術博物館で開かれ、下伊那郡高森町の大原均さん(65)はコイ科の淡水魚カワムツが天竜川水系で急速に分布を広げている実態を報告した。カワムツは繁殖力が強く、分布を広げたエリアではアブラハヤが減るといった影響が出ており、さらなる調査が必要としている。 大原さんは国土交通省の「河川水辺の国勢調査アドバイザー」。カワムツは西日本を中心に分布し、アユ放流に交じるなどして天竜川水系に持ち込まれたとみられる。 県内の天竜川水系での分布は数年前まで、南は下伊那郡天龍村の愛知県境付近、北は駒ケ根市中沢の南向(みなかた)ダムの下流までとみられていた。だが、2011年11月の調査で、南向ダムの上流約5キロの支流でも捕獲。12、13年の調査では同市内の上流にある別の支流でも確認されたという。 大原さんは取材に「1年間に1・5キロほどのペースで北に広がっている。あと25年ほどで諏訪湖まで達するのではないか。生態系の変化の調査も続けたい」と語った。 この日は大原さんを含め11の個人・団体が研究を発表。ポスター発表もあった。(長野県、信濃毎日新聞社)
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