昨年9月の火災で校舎など5棟を全焼した上田市浦野の浦里小学校の児童12人が23日、同市上丸子の市丸子文化会館で開かれたコンサートで、同校の廃材で作ったコカリナの演奏を初めて披露した。同市出身のコカリナ奏者黒坂黒太郎さん(63)=埼玉県=の指揮で同校校歌と唱歌「故郷(ふるさと)」を吹き、会場の約600人から大きな拍手が送られた。 コカリナは、黒坂さんや東信地方の愛好者でつくる「浦里小学校応援コカリナプロジェクト」が火災で燃え残った校舎の梁(はり)や柱を同校から譲り受けて製作。全校児童92人に配った後、プロジェクト内で黒坂さんと児童たちの共演を望む声が出たため、希望者を募って練習してきた。 この日は、丸子ライオンズクラブが結成50周年を記念して企画した黒坂さんのコンサート。児童たちは緊張の面持ちでステージに立ち、息を合わせて澄んだ音色を響かせた。同校5年市川優さん(11)は胸に下げたコカリナを手に「ここに校舎の思い出が全部詰まっている気がして、うれしかった」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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