松本市で開かれている「第16回スズキ・メソード世界大会」で29日、絵本の世界と音楽が共演する街角コンサートが同市美術館で開かれた。絵本作家いせひでこさんの原画が飾られる会場で、ピアノ伴奏に合わせてチェロの深い音色が響いた。立ち見が出るほどの来場者が詰め掛け、静かに耳を傾けた。 会場にはいせさんの最新作「チェロの木」の原画など約50点の絵を展示した。同書は、楽器職人の父の下で音楽に目覚める少年を描いた作品。いせさんは「絵と音楽の結婚のような絵本が描きたかった」といい、鮮やかな色彩やリズム感のあるタッチなどが特徴だ。 チェロ奏者佐藤光さんとピアニスト大住(おおすみ)綾野さんがエルガー「愛の挨拶(あいさつ)」やフォーレ「子守歌」など10曲を演奏。子どもたちはチェロを巧みに操る佐藤さんを興味深そうに見つめていた。 神奈川県鎌倉市から来た会社員板谷ひさ子さん(34)は「音楽と物語が融合した空間だった。人の心の深い所に関わるいせさんの物語がとても好き」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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