1998年4月1日に茅野市のJR茅野駅前ビル「ベルビア」で、男性警備員が落ちていたボールペンを拾ってキャップを外したところ爆発し、右手を骨折するなどの大けがを負った事件は発生から15年となり、4月1日午前0時に爆発物取締罰則違反の公訴時効が成立する。県警の捜査では有力な目撃情報が得られず、火薬やボールペンも特殊な物ではなかったことなどから、犯人の絞り込みに至らなかった。 事件は午後6時45分ごろ、ビル1階の女性用トイレ入り口付近で発生。巡回中にボールペンを拾った当時69歳の警備員鈴木辰巳さんが大けがをした。 当時、茅野市を管轄していた諏訪署は爆発物取締罰則違反の疑いで捜査。県警科学捜査研究所はボールペンの破片などから火薬の成分を分析し、市販の爆竹や手持ち花火などにも使われる塩素酸カリウムを主とする混合火薬と分かった。ボールペンも国内メーカーが大量生産していた商品で、捜査関係者は「遺留物が犯人に結び付かなかった」と振り返る。 事件当日に現場周辺を通った人や同ビル内の店舗従業員らへの聞き込みでも不審人物は浮上せず、動機も不明。2002年新設の茅野署が捜査を引き継いだが、ことし1月下旬に被疑者不詳のまま長野地検に書類を送った。 今も茅野市に住む鈴木さんの妻(78)によると、鈴木さんは事件後、2カ月近く入院。退院後は事件の話をすることもほとんどなく、11年2月に老衰で亡くなった。妻は取材に「当時を思い出すので、今でも現場近くを通るのを避けている」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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