県は25日、中学卒業以上の発達障害の若者を受け入れる「学びの場」を、長野市若里の県社会福祉総合センター内に開設する方針を明らかにした。発達障害への教育ノウハウをもつ学校法人やNPO法人などが運営を担い、コミュニケーションや基礎学力などの面で支援、進学や就労につなげる。県は発達障害に対する支援のノウハウを運営団体から得て、県内の教育現場に役立てる。 県次世代サポート課は、発達障害に特化して学ぶ場を設けるのは、都道府県レベルでは珍しいとしている。 県によると、学びの場は発達障害の診断を受けるほか、特別な支援が必要とされる若者が有料で通う。対象は15歳から20代前半程度の年代層を想定。同センターの1階約500平方メートルに開設し、利用者数は最大で50人程度とする。同じ建物に入る県社会福祉協議会とも連携していく。 発達障害には、対人関係などに困難を伴う自閉症やアスペルガー症候群といった「広汎性発達障害(PDD)」、集中が苦手な「注意欠陥多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が不得手な「学習障害(LD)」などがある。 県次世代サポート課などによると、県内で昨年度、発達障害の診断を受けた小中学生は4662人で増加傾向にある。知的障害や肢体不自由のない発達障害の生徒は原則、特別支援学校の対象ではなく、高校には特別支援学級もないため、高校生世代以上への支援を手厚くしようと、学びの場の開設を企画した。県次世代サポート課は「ノウハウを小中学校、大学へも展開し、県全体の発達支援教育のレベルを上げたい」としている。 運営を希望する団体は5月10日までに県へ応募し、具体的な運営構想を同月31日までに提出する。特別支援の専門家や保護者らでつくる委員会が団体を選定。来年度からの運営を目指す。(長野県、信濃毎日新聞社)
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