今夏の参院選で争点になるとみられる憲法の改正手続きを定めた96条をめぐり、県関係国会議員17人のうち6割超の11人が改正(要件の緩和)に賛成していることが30日、信濃毎日新聞の取材で分かった。自民党の8人全員が賛成のほか、日本維新の会の2人、みんなの党の1人が賛成。一方、民主党は4人が反対、2人がどちらとも言えないとした。また、国会議員がいない県内各党のうち、共産、社民両党は反対と回答した。 96条改正について、安倍晋三首相(自民党総裁)は「夏の参院選でも堂々と改正を掲げて戦う」と表明。自民党が2012年4月にまとめた憲法改正草案では、発議(国民への提案)要件を衆参各院の「3分の2以上」から「過半数」に緩和するとしている。 改正に賛成とした自民党議員からは「3分の2の発議要件では改正が難しすぎる」(後藤茂之氏)などとハードルの高さを問題視する意見が目立った。ただ、過半数に緩和するかどうかは「衆参両院を同数とするのかなど、十分な議論が必要」(小坂憲次氏)といった意見も出た。 96条改正に賛同する日本維新、みんなの議員からも「発議がしにくいと、国民の憲法論議も活性化しない」(日本維新の宮沢隆仁氏)などと国民的な議論を喚起するためにも要件の見直しが必要といった指摘が出た。 一方、民主党は「3分の2以上の国会議員を説得できない改憲案は問題がある」(北沢俊美氏)など、安易な改憲につながりかねないとして4人が反対した。ただ、96条改正をめぐる党の方針は定まっておらず、2人はどちらとも言えないとした。 県内各党では、公明党が96条改正についてどちらとも言えないと回答。共産、社民両党はともに反対とした。 国会議員や各党には、憲法9条改正の賛否と自民党憲法改正草案への評価も併せて尋ねた。9条改正に賛成の国会議員が8人、反対が6人、どちらとも言えないが3人。賛成の議員からは自衛権の行使などを明記するよう求める意見が目立ち、反対の議員は「9条は平和憲法と評価されてきた根幹」(みんなの井出庸生氏)などとした。県内の公明、共産、社民各党はいずれも9条改正に反対と答えた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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