旧南安曇郡北穂高村(現安曇野市)出身の外交評論家、清沢洌(きよし)(1890~1945年)の次女、池田まり子さん(83)=東京都渋谷区=が2日、清沢が戦時中に政府や軍部への批判を記した「暗黒日記」の原本や、政治家からの書簡など119点を安曇野市に寄贈した。戦時下に平和外交や民主主義を訴えた先見性がうかがえる貴重な資料だ。 寄贈したのは1942(昭和17)年12月9日~45年5月5日の日記4冊と、戦後に首相を務めた幣原喜重郎、吉田茂、芦田均、石橋湛山らと交わした書簡34点、清沢の著書34冊など。日記には、実力のない人が軍の肩書だけで政治の要職に就いているといった批判の他、ゴルフをしたなど日常の様子も記されている。 寄贈された資料は生誕120年を前に2009年に同市で開かれた清沢洌展の後、市に寄託されていた。池田さんは「将来散り散りになってもいけない。研究に活用してほしい」と話していた。市側は管理態勢を整えた上で、一部の展示や清沢の業績を伝える学習会開催などを検討する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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