諏訪市郊外の霧ケ峰で4月28日に起きた大規模火災が国天然記念物の踊場(おどりば)湿原に延焼した問題で、諏訪市教育委員会は8日、文化財保護法に基づく毀損(きそん)届を文化庁に提出した。市教委は同日、湿原の特徴的な植生でスゲ類が湿地帯や水面に繁茂してできる「ヤチボウズ」の一部が焼けたことを示す湿原の写真を公開した。 市教委によると、踊場湿原(約28ヘクタール)は火災でおよそ1割に当たる約3ヘクタールが焼けた。市教委が公開したのは一般の立ち入りを禁じている場所の写真で、芽吹き前で枯れた状態のヤチボウズがいくつも燃え、黒く焦げた様子が分かる。 文化財保護法は、天然記念物などの現状変更には文化庁の許可を受けるよう定めており、毀損した場合も同庁への届け出が必要。市教委は、延焼による詳しい植生への影響は不明としているが、「状況の推移を確認していく必要がある」として、中長期的なモニタリング調査などを行う意向を示している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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