2011年11月に長野市の市道で飲酒運転し、少女2人をはねて死傷させたとして、殺人と自動車運転過失傷害、道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の罪に問われた男性被告(21)=事故当時(19)=の控訴審判決で、東京高裁(三好幹夫裁判長)は13日、裁判員裁判で懲役17年とした昨年10月の一審長野地裁判決を支持し、被告の控訴を棄却した。 被告の弁護人は殺人罪について無罪を主張していたが、三好裁判長は事故の目撃者や再現実験の結果などから、「被告は自車底部に(死亡した少女を)引きずっていることを認識していた。引きずり続ければ死亡させるかもしれないが、やむを得ないと容認したもので未必の殺意があったと認められる」と退けた。 閉廷後、死亡した少女の母親(42)は「娘には(裁判官に)分かってもらえたよ、と伝えたい」と話した。被告の弁護人は被告と接見した後に取材に応え、「真実が分かってもらえなかったことが残念で悔しいと話していた。上告は本人が判断すると話していた」と述べた。 判決によると、被告は11年11月5日未明に酒気帯びの状態で軽乗用車を運転し、歩いていた少女2人をはねてけがをさせた。1人を車底部に巻き込んで引きずり、二百数十メートル走って停止したが、事故の発覚などを免れるため、被害者が死亡するかもしれないと思いながら再発進。さらに約400メートル引きずって頭蓋内損傷などで殺害した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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