県が非常勤の行政委員に支払っていた月額報酬が勤務実態と懸け離れているとして県民有志が支給差し止めを求めて提訴したことなどを機に、県が2012年度から6行政委員の報酬額支給方法を「月額・日額併用制」に移行した結果、1年間の報酬総額が、改正前の関係条例で定められていた額に比べて35・8%、2600万円余減ったことが信濃毎日新聞の取材で18日、分かった。
県は11年度まで、非常勤の6行政委員に対し、月に数日の勤務実態しかなくても定額の月額報酬を支給。「月額・日額併用制」では、月額分として従来の報酬月額の3分の1を支払い、ほかに日額分として委員長・会長には1日当たり2万5600円、一般の委員には同2万3千円を支給することとした。
この結果、全ての行政委員で報酬年額が減少。削減率が最も高かったのは、労使紛争の調整などをする労働委員会の公益委員(労使の立場でない委員)で、4委員の合計額は49・7%、469万円余の減となった。同委員会の会長と公益委員を除く10委員の合計が47・6%減、選挙管理委員会の一般委員3人の合計が41・3%減となった。
削減率が最も低かったのは教育委員長で6・5%減。公安委員長が12・7%減で続いた。他の委員と比べ勤務日数が多かった。
県人事課は「移行の目的は報酬額の削減ではなく報酬の適正化。移行してまだ1年しか経過しておらず、評価の段階ではない。報酬額が勤務実態に合っているか、見極めていきたい」としている。
非常勤行政委員の報酬をめぐっては、勤務日数が少ない委員への月額報酬支給の違法性を認定した2009年の大津地裁判決(最高裁で適法と判決)を機に見直しの動きが全国に拡大。県内でも支給差し止めの動きが出て、県は11年1月から有識者検討会で議論し、併用制に移行した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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