パートや契約社員など有期契約労働者の雇用安定のため、4月に施行された改正労働契約法について、労働者と企業の双方から昨年度に長野労働局に寄せられた相談が計316件に上ったことが28日、同局のまとめで分かった。改正は同じ職場で5年を超えて働けば無期雇用に転換できる―との内容で、企業側には「労働者に寄りすぎた法改正だ」との指摘がある。一方、同局は労働者側には5年未満で雇い止めされるのではないかとの懸念があるとみている。 同局監督課によると、昨年度の相談は労働者側からが180件、企業側からが136件。労働者との契約が切れて一定期間経過後に再雇用した場合、以前の雇用期間を「5年」に算入しない「クーリング制度」に関する相談や、法改正の内容は派遣労働者にも適用されるのかといった質問が寄せられた。相談はことし4月も32件寄せられ、改正法施行に伴ってやや増加傾向という。 昨年11~12月に県経営者協会が実施し、会員167社が回答した調査によると、同法改正にどう対応するか(複数回答)との質問に、21・1%が「最長5年未満での契約終了」を挙げ、改正法に沿った「無期労働契約への転換促進」との答えは14・9%だった。水本正俊専務理事は「(労働力需要への)柔軟な対応が必要な時代に、今回の改正法は縛りが強い」と指摘する。 龍谷大の脇田滋教授(労働法)は「改正法は会社側へのある程度の規制で、雇用の安定につながる。そもそも5年間続くような恒常的な業務に、臨時的に雇う形態の労働者を充てることを可能にしておくべきなのか、議論が要る」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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