飲酒した翌朝に酒気帯び運転で摘発され、懲戒免職処分となった元中学校教諭坪井香陽(かよ)さん(43)=長野市富竹=が県に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁(鈴木健太裁判長)は29日、一審で処分取り消しを命じられた県側の請求を棄却した。 判決などによると、坪井さんは2009年4月10日夜、長野市の居酒屋で飲酒して帰宅。翌11日朝、財布をなくしていることに気付いて市内の交番まで車を運転して出向いた際、警察官から酒の臭いがする―と指摘され、呼気検査を受けたところ、呼気1リットル当たり0・3ミリのアルコールが検知された。 一審判決は、酒気帯び運転をした教職員について、「原則懲戒免職(飲酒後、相当の時間経過後に運転した場合は3カ月以上の停職)」とする県教委の処分基準について、「故意または故意に等しい重過失がある場合に免職、軽過失の場合は原則停職と解するのが相当」と認定。坪井さんは飲酒後、6時間半の睡眠を取るなどしており、酒気帯びの認識はなく、日頃の勤務態度などを考慮しても「免職処分にする事情が存在するとまでは言えない」とした。 二審判決はこれを踏襲し、坪井さんが自動車を運転して交番に向かっていることなどから故意はないと認定。過失については「軽微であるとは言えない」としつつ、交番では歩行能力などは問題はなく、「故意に等しいほど重大であったと評価するのは酷に失する」とした。 県教委の処分については「懲戒処分に付した判断は相当だが、本件処分(免職処分)は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱して乱用したもので違法」と結論づけた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧