県立こども病院(安曇野市)は、インターネットのコミュニティーサイトを開設して1500グラム未満で生まれた「極(ごく)低出生体重児」の支援を強化する。育児に不安を抱えることも多い親が悩みを書き込んだり、医療関係者が助言したりする目的で、2014年度に運用を始める計画。医療技術の進歩で2500グラム未満の低出生体重児の出生率は高まっているが、低体重で生まれるリスクの研究も進んでおり、長期的な支援に反映する。同病院によると、こうしたサイトの開設は国内で初めて。 利用者として主に県内の極低出生体重児の親を想定。対象者にIDとパスワードを発行し、パソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)で利用できるようにする。 サイトでは、子どもの成人後を含め、子や親、医師らが交流し、発育や医療に関する悩み、生活上の心配ごと、教育面の不安などを共有。こども病院以外の各地の産科医療機関などにも助言を求める。 同病院のまとめによると、2011年の県内の新生児のうち、2500グラム未満の低出生体重児の割合は9・65%で、01年比1・38ポイント高。1500グラム未満の割合は0・85%だが、01年比で0・21ポイント高くなった=グラフ。新生児医療が進んだ他、出産年齢が高くなったり、不妊治療が普及したりした影響が考えられるという。 同病院新生児科の広間武彦部長(44)によると、低出生体重児は慢性肺疾患や感染症のリスクが高まる他、成長後にメタボリック症候群などになりやすいことが分かってきた。中村友彦副院長(54)は「低体重で生まれた影響が出るのは9歳ごろまでと考えられてきたが、成人以降も(継続的に)診る必要性が出てきた」と指摘している。 同病院は、サイトを活用して長期にわたって健診率を向上させ、病気の早期発見につなげることを目指している。 木曽郡木曽町の園原梨香さん(49)は、800グラム台で生まれた長男(19)が幼いころ、肺の調子が悪くて自宅で呼吸管理をしたり、風邪で受診した際の処置が大変だったりしたと振り返る。サイト開設について「気軽に相談できる。親同士で助言し合えればいい」と期待している。 同病院は使いやすいサイトにしたいと、電子メール(nagano_followup@yahoo.co.jp)で意見を募っている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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