諏訪市のJR上諏訪駅前の商業ビル「スワプラザ」1階で野菜工場を運営する諏訪市の会社「幸菜(ゆきな)」は6日、一般消費者向けに野菜の直売を始める。2011年の工場開設以降、栽培ノウハウを蓄積し、安定的に供給できる態勢が整った。毎週木曜日の午前11時から工場前の特設ブースで販売。駅前の活性化にも貢献しようと張り切っている。 販売する野菜は、リーフレタスとサラダホウレンソウの2種類。それぞれ1袋60グラム前後入り、100グラム前後入りを300円で売る。普通の野菜より割高だが、無農薬栽培で安心して食べられる点をアピール。レタスは120袋、ホウレンソウは50袋ほどを毎週用意する。品目は、客の反応を見ながら増やす計画だ。 幸菜は諏訪市でカメラ部品などを製造する丸安精機製作所が11年に設立。国内製造業が空洞化する懸念から、将来有望な市場として野菜工場に着目した。野菜工場の開設を支援する諏訪市の会社「諏訪菜(な)」の助力も得て、設立以来同社の販路で少量を売りながら栽培技術を研究してきた。 野菜工場の広さは165平方メートル。温度や湿度などを管理し、蛍光灯の光を当てて水耕栽培している。工場内には4段重ねの栽培棚が4台並び、スワプラザを訪れた買い物客が、ガラス越しに成長の様子を観察できるショールームのようになっている。 幸菜の笠原昇社長(42)は「隣のまるみつ百貨店が11年に閉店したこともあり、駅前は元気がない。直売を地域の皆さんに足を運んでもらうきっかけにしたい」と強調。「経営的にはまだ苦しいが、今後は徐々に販売量を増やして安定的な収益源にすることを目指す」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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