阿部守一知事は21日、松本市の松本大を急きょ訪れ、県短大(長野市)を四年制化する新たな県立大の基本構想案をめぐって松本大の住吉広行学長と会談した。構想を速やかに決定したい意向の阿部知事は県内高等教育の振興策などを説明し理解を求めたが、住吉学長は構想案に新たに盛り込まれた管理栄養士養成課程の競合などに懸念を示し、会談は平行線に終わった。 冒頭以外は非公開。阿部知事が冒頭、「県内の大学全体を振興していけるように持っていきたい」と切り出すと、住吉学長は「県よりも県の教育をどうするか考えて話してきたつもり。一貫して姿勢は変わらない」と話した。 約3時間の会談後の取材に、双方とも、県立大に管理栄養士養成課程を設ける点について折り合わなかったことを認めた。阿部知事は「速やかに構想を決定するという考えは変わらない」とし、住吉学長は、構想案から同課程を外すことを求めたことを明らかにし「(構想案を変更しない限り)歩み寄る可能性はゼロだ」と話した。 基本構想案は19日の設立準備委員会(委員長・和田恭良副知事)で取りまとめられたものの、県短大同窓会などの意向に配慮して管理栄養士受験資格が得られるよう素案を大幅に修正したことなどに対し、異論が出た。県内で唯一、同課程を持つ松本大は、学生獲得などでの競合を懸念し同課程設置に反発していた。 構想案によると、県立大は2017年4月開学が目標。現在の県短大所在地を基本に設置する。総合マネジメント、健康発達の2学部からなり、健康発達学部の健康文化学科(定員40人)に管理栄養士受験資格が得られる「食健康コース」を設ける。(長野県、信濃毎日新聞社)
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