県や地元地権者らでつくる霧ケ峰自然環境保全協議会は21日、諏訪市の県諏訪合同庁舎で開き、事務局の県が「霧ケ峰自然保全再生実施計画」の素案を示した。植物群落や区域ごとに、草刈りなど人為的に手を入れることで、採草が盛んだった昭和30年代の草原の再生を目指す。一方、国天然記念物の踊場(おどりば)湿原に注ぐ沢の周辺などは手を付けず、希少植物の「保全地区」とすることも盛った。 実施計画は、草原の保全・再生の方向性を盛った基本計画(2009年作成)に沿い、植生の現状などに応じ具体的な手法を示した。ススキ群落では刈り取りやレンゲツツジなどの伐採で地表部に日光を入れ、草原性植物の生育を促す。人が入り込んで踏み付けられた場所では、登山道を付け替えるなどで植生の回復を図るとした=表。 協議会は来年度から5年間、複数のモデル地区を設けて作業に着手。5年後に成果を検証して計画を見直す。 霧ケ峰では4月、草原の森林化を防ぐための火入れ(野焼き)の火が延焼して大規模火災に発展。実行委員会長の山田勝文諏訪市長は当面、火入れを中止する方針を示している。実施計画では、草原維持の手法の一つとして火入れを位置付けたが、協議会座長の土田勝義・信州大名誉教授は「当面は草刈りで(草原を)維持する」と説明した。 素案は同協議会のホームページなどで公表し、7月上旬から約1カ月間、意見を募る。10月の次回会合で最終報告をまとめる。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧