岐阜県中津川市山口(旧木曽郡山口村)で、特産のだんご形の五平餅を販売する「第25回ふるさと馬籠ごへー祭り」が、28日の開催で最後となる。地域で実行委員会を組織し、各地区で五平餅を作ってきたが、高齢化で作る人が減り存続が難しくなったためだ。長野県の旧山口村だったころからのイベントが途絶えても、特産は絶やさないようにしたいと関係者は考えている。 五平餅はつぶしたご飯を串などに刺し、みそだれなどを付けて焼いたもの。長野県南部や岐阜県などに伝わる。イベントは1988(昭和63)年、山口村と旧西筑摩郡神坂村の一部の合併30周年を機に、住民らでつくる実行委員会が始めた。五平餅を売って住民交流を活発にする目的だった。初期には村内全26地区が参加し、6万本を売った年もあった。2005年に越県合併してからも続けてきた。 だが、人口約1900人の旧山口村地域では65歳以上の人口が3割を超す(4月1日現在)。「作る人が70代と高齢になり、参加地区も減っていた」と同市山口総合事務所の斉藤信広所長。準備から片付けまで5日は必要という大変さもあり、昨年の参加は7地区と業者ら12団体、約3万8千本の販売にとどまった。 イベントには毎年2万~3万人が訪れ、昼ごろには売り切れる人気が続くが、参加地区が減り、住民交流という本来の趣旨が薄れていた。実行委の会合で、ことしで最後とすることが決まった。 28日は9地区と業者など12団体で4万本以上の五平餅を売る予定。市の第三セクター「山口特産開発」の店舗「木曽ごへー本舗」は6千~7千本を販売する予定で、楯鑑治社長(70)は「イベントは終わっても特産は絶やさないようにしたい」。実行委員長で山口地域づくり推進協議会の楯政彰会長(64)は「今後は形を変えて五平餅をPRしたい」としている。 イベントは午前9時半~午後2時半、馬籠ふれあい広場。問い合わせは市山口総合事務所(電話0573・75・2126)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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