上田市と東御市の千曲川でこの時季に行われるアユの「やな漁」が、今季は不漁のままシーズンをほぼ終えた。上小漁業協同組合(富岡道雄組合長)によると、例年は管内の3カ所で計1・5トン以上捕れるが、今季は計0・3トンほど。不漁で計約0・5トンだった昨季をさらに下回り、漁師からは「過去最悪」との声も。同漁協は25日の理事会で原因を話し合い、「残暑と少雨が影響したと思われるが、詳しくは分からない」とした。 同漁協によると、やな漁は産卵期になって水温が下がると川を下るアユの習性を利用し、木材を組み合わせてすのこ状にした「やな」で捕る漁法。千曲川では9月上旬から10月中旬を中心に行われる。水温が13~15度くらいに下がり、台風などで水量が増え川の流れが速くなるとよく捕れるという。 同漁協は、アユの稚魚約4・5トンをことし4月27日~6月1日に9回に分け、上田小県地域の千曲川、依田川などに放流した。今季、管内3カ所のやなから計157キロのまとまったアユが初めて持ち込まれたのは9月24日。例年より2週間ほど遅かった。その後は10月3日に計46キロ捕れた程度で低調だった。 「やな漁を20年やってきたが、ことしは一番捕れなかった」。上田市下之条の千曲川左岸にやなを仕掛けている地元の漁師中山泉さん(69)は嘆く。 同漁協理事会では、今季は残暑で川の水温が下がらず、少雨で流量も増えなかったことが影響したのでは、との声が出た。一方、同漁協管内の千曲川などで6月23日に解禁され、生きたアユをおとりに使う「友釣り」は、8月までにぎわっていたという。富岡組合長(64)は「やな漁がなぜ不漁だったのか、現時点で原因はよく分からない。解決策がないか探っていく」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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