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中国からの元農業研修生徐さん、31年ぶり飯田の農園訪問

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 飯田市中村の農園で1982(昭和57)年に農業研修をした中国吉林省の徐文斌(じょぶんしん)さん(58)が31年ぶりにこの農園を訪れ、地元住民による歓迎会が15日に開かれた。戦時中、飯田下伊那地方から旧満州(中国東北部)の吉林省に渡った開拓団の引き揚げ者らでつくる「水曲柳会」と、同省水曲柳との交流がきっかけで農業研修は実現。飯田市を訪れた研修生8人のうちの1人が徐さんだった。歓迎会では徐さん、〓(対の寸がリットウ)廷玲(りゅうていれい)さん(58)夫妻を住民ら約30人が囲むようにして思い出を語り合った。  徐さんは82年2~11月、熊谷寛二さん(78)が経営する「梅花園」で果樹栽培や農業経営、日本語などを学んだ。現在も農業関係の仕事をしている。歓迎会で徐さんは「(研修の際は)ありがとうございました。皆さんの元気な姿を見て、安心しています」と日本語であいさつ。集まった人たちは、〓(対の寸がリットウ)さんの手ほどきで地元の女性らが作った水餃子(すいぎょうざ)などを食べて交流。最後は、研修当時によく歌った「北国の春」と「星影のワルツ」を合唱して盛り上がった。  引き揚げから35年が経過した80年、水曲柳会の会員たちは旧満州などで亡くなった人の慰霊と残留邦人に会うために吉林省水曲柳を訪れた。この際、現地の要人が同行してくれた。恩義を感じた同会が、同省からの農業研修生の受け入れを飯田市に打診し、研修が実現したという。  今回、徐さん夫妻は都内に住む長女の出産に伴って来日した。11日に連絡を受けた熊谷さんは急きょ、同園の元従業員や近所の人に呼び掛けて歓迎会の準備をした。  徐さんは研修時から気さくな人柄で知られたといい、熊谷さんは「みんなに好かれる性格は今も変わらない」。沖縄県・尖閣諸島の領有権をめぐる日中の対立が続く中、両国の友好のためにも、熊谷さんは「民間の交流がもっと発展していってほしい」と期待を込めた。(長野県、信濃毎日新聞社)


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