欠員で運航に支障が出ていた県消防防災ヘリコプター「アルプス」の操縦士の補充にめどが立ったことが26日分かった。操縦士が1人だけとなり、4月から週2日は同ヘリを運休せざるを得ない事態になっていたが、新たに補充する操縦士が訓練などを経て飛行が可能になれば、整備日を除き休みなく運航できる態勢が整う。 アルプスの操縦士は昨年末まで2人(ともに男性)いたが、うち1人が退職し、50代の1人だけになっていた。ことし1~3月は民間運航会社から派遣を受けてしのいだが、4月以降は週2日運休。5月に長野市で起きた山火事では、休みだったこの1人を緊急招集して対応した。 県は1~2月に新しい操縦士を募集したが条件を満たす応募がなく、4~5月に条件を緩和して再募集。5人の応募があり、書類審査や面接などで、県外の民間運輸企業に勤める40代男性の採用を決めた。今月25日付で内定通知を出した。 この男性は千時間を超える飛行経験があり、アルプスの機種の操縦資格もある。県職員として9月1日付で県消防防災航空センター(松本市)に配属される予定だ。 ただ、県内の地形や気象に慣れる訓練や、消防隊との連携確認も含めた訓練が必要で、「実際に活動できるようになる時期は未定」(県消防課)。既に遭難救助業務が多い夏山シーズンに入っているが、今季の稼働は難しく、当面は県警ヘリや近隣県に応援を要請することになる。 県消防課は「全国的に民間会社の操縦士も不足し、欠員時に派遣を受けることが難しくなっている」と説明。「ノウハウや経験をつないでいくためにも人材を育てていきたい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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