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高速バス安全模索の旅 8月1日ツアーバス廃止の新制度出発

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 国の制度改正で8月1日から高速ツアーバスが廃止され、より安全基準の厳しい高速乗り合いバスに一本化されるのを前に、ツアーバスを企画してきた県内の旅行会社が、新たに義務付けられる停留所の整備など対応に追われている。ツアーバス事業から撤退した会社もある。路線バス会社が運行している高速乗り合いバスに大きな変化はないが、安さが売りだった高速ツアーバスの運賃値上がりや便数の減少など利用者にも影響が出そうだ。  国土交通省は昨年7月、ツアーバスを乗り合いバスに一本化する「新高速乗合バス」制度を定めた。ツアーバスは停留所設置の義務がなく、路上で自由に乗客を乗り降りさせることで、安全面に問題があると指摘されていた。高速バス事業を続けるには、停留所を確保して同省から認可を受けることになった。  ツアーバスを企画してきた県内の旅行会社2社のうち、トラビスジャパン(上伊那郡箕輪町)は、県内各地と新宿、大阪、京都を結ぶツアーバス全17路線を乗り合いバスでも継続するため、停留所確保を急いでいる。  必要な停留所は県内外で約60カ所。社有地を使ったり、既存の停留所を他の路線バス会社と共同使用したりしても確保できなかった6カ所は、新しく土地を借りた。このうち千曲市屋代の長野道更埴インター近くの土地約860平方メートルは22日に造成工事を始めたばかりだ。  同社は貸し切りバス事業も行っており、運転手や車両の確保はできているが、停留所の土地借用や工事に約2千万円をかけた。8月以降は月数百万円の賃貸料がかかる。8月以降、運賃を200~700円ほど値上げせざるを得ないという。県内と大阪を結ぶ路線は本数を減らした。吉沢博文社長は「これでいけるか様子をみたい」。  長野―新宿間のツアーバス(片道2500円)を企画、運行してきた旅行業・貸し切りバス業のアリーナ(長野市)は、乗り合いバスへの移行準備は「いろいろと大変なことがある」(宮沢千津社長)と、高速ツアーバス運行から撤退し、全国で同事業を展開するウィラーエクスプレスジャパン(本社・大阪市)の子会社に引き継いだ。  アリーナが運行してきたツアーバスは1日最大14本。8月からは路線を見直し12本に減らす。運賃は片道で500円程度値上げする便もあるという。ウィラーエクスプレスジャパンの広報担当者は「それほど変化を感じずに使ってもらえるはず」とする。ただ、乗り降りできる場所は県内外9カ所から6カ所に減って、松本駅前などは停車しなくなる。  トラビスジャパンも、他社との調整で予定通り停留所として使えるかが不安な所もあり、「事業者にとっても利用者にとっても、今までと同じようにはできないと思う」。吉沢社長は、先が見通せない状況をこう説明した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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