長野市早苗町で外科医院を経営する傍ら、土人形など郷土玩具を集めた故夏目隆一さんの収集品の一部を展示する展覧会「カワイイ人形たち」が、同市東町の市立博物館付属施設「ちょっ蔵おいらい館」で開かれている。夏目さんが収集した土人形をはじめとする県内外の郷土玩具7千点の中から、約50点を展示している。9月1日まで。入場無料。 妻の智子(さとこ)さん(73)によると、夏目さんは戦後、千葉県で過ごした医学生時代、商店街で張り子の虎を見て「風情に心が癒やされ」たのをきっかけに、収集するようになった。夏目さんは2010年6月に79歳で亡くなるまで集め続けた。 智子さんは、収集品を何らかの形で役立てられないかと考えた。夏目さんの長野高校時代の同級生らが協力し、ことし3月、市立博物館に寄付した。 展覧会では、中野市の「土びな」や伏見(京都府)、博多(福岡県)など全国の産地で作られた、着物姿の女性や十二支などの人形を展示。各作品には、収蔵品の整理作業をしているボランティアらが「顔つきがひょうきん」「和やかでほほえましい」といったコメントを添えた。 智子さんは「夫は土人形の一つ一つに愛着を持ち、散逸してしまわないか気にしていた。生まれ育った長野市に寄贈でき、喜んでいると思う」と話している。 市立博物館によると、7千点の「夏目コレクション」の中には、後継者が途絶え作られなくなった土人形も含まれており、資料的な価値は高い。(長野県、信濃毎日新聞社)
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