須坂市小山に主力工場を持つ電気機器、通信機器部品など製造の太陽誘電モバイルテクノロジー(横浜市、557人)の親会社の太陽誘電(東京)は30日、2014年4月に東京都青梅市に太陽誘電モバイルテクノロジーの新工場を設立し、須坂工場などが生産しているスマートフォン(多機能携帯電話)向け部品などの生産規模を拡大すると発表した。 同社の工場は現在、須坂工場と所沢工場(埼玉県三芳町)の2カ所。新工場稼働に伴う須坂工場からの生産移管や閉鎖について、太陽誘電は「今後の検討課題で、現状では決まったことはない」(広報部)と説明している。 太陽誘電モバイルテクノロジー須坂工場の従業員数について太陽誘電は明らかにしていないが、太陽誘電モバイルテクノロジー労働組合須坂支部によると、従業員は約350人。関係する会社などによると、他に派遣社員らも同工場で働いており、受注状況によって500~600人が働いているという。 同工場は富士通(東京)の旧須坂工場だった場所で、土地や建物は富士通が所有している。02年、当時の富士通須坂工場が事業規模を大幅に縮小。その後、太陽誘電が富士通のグループ会社、富士通メディアデバイスから事業譲渡され、土地と建物を賃借し、10年3月末から操業している。 太陽誘電モバイルテクノロジー須坂工場で手掛けているのは、スマホなどに複数個組み込まれているフィルターと呼ばれる部品など。太陽誘電によると、スマホ向けの需要が見込まれるため生産能力拡充を目指していたが、「須坂工場は(手狭で)拡張しづらい」(広報部)として、新製造拠点を探していた。 同社によると、日立製作所(東京)と31日に売買契約を結び、青梅市にある同社半導体製造工場の一部を購入して太陽誘電モバイルテクノロジーの新工場にする。敷地面積は5・6ヘクタールで、須坂工場の約1・5倍。14年4月の生産開始を目指す。量産規模や人員態勢などは未定としている。 同社須坂工場の動向について太陽誘電は「新工場の態勢が未定なので、何とも言えない。現状維持とするか、縮小、閉鎖とするかも決まっていない」(広報部)としている。 須坂市の三木正夫市長は30日、太陽誘電モバイルテクノロジーから説明を受けた。取材に「会社側に須坂工場の今後の動向について尋ねたところ、『工場の移転などは決まっていない』と聞いた。今後の事業展開を見ながら、必要があれば市として対応を取っていきたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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