阿部守一知事は1日の記者会見で、中央アルプス檜尾(ひのきお)岳(2728メートル)付近で起きた韓国人グループの遭難事故などを受け、9月にも山岳遭難の防止に関する検討会を設置すると明らかにした。山岳会に所属せずガイドも付けない登山者や外国人登山者などの増加を踏まえ、情報提供や安全啓発、県の新たな山岳ガイド制度の活用など安全向上策を検討する。 県観光部によると、検討会は、山岳ガイドや山岳会、山岳遭難防止対策協会(遭対協)、山小屋の関係者ら10人前後で構成。知事は、議論の途中であっても、必要な対策は県の来年度予算に反映させる考えを示した。 知事は、日本人、外国人ともに「今までより山に入る方の層が広がっている」と指摘。その上で現状の注意喚起の方法で十分か、県が昨年度から新たに始めた「信州登山案内人」の制度と安全な登山をどう結び付けるか―といった点を検討課題に挙げた。悪天候時の入山規制についても「視野に入れて幅広く検討したい」とした。 同部によると、海外から県内への登山者数のデータはないものの、外国人遭難者は昨年までの5年間で、韓国5人、ロシア、オランダ、米国、英国各1人だった。 会見での説明に先立ち、知事は今回の遭難事故の犠牲者に哀悼の意を表明。当面、東アジアや欧米の大使館や領事館に対し、日本の山岳の特性や登山時の準備について母国向けの注意喚起を文書で依頼するなどの対応を取るとした。(長野県、信濃毎日新聞社)
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