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小諸の遺跡で無届け工事 事前協議で市教委「不要」と回答

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 小諸市南部の和田原遺跡群内の敷地で昨年、民間企業が新社屋を建てる際、小諸市教委が、本来必要な文化財保護法に基づく県教委への届け出を不要と判断し、無届けで工事が行われていたことが9日、分かった。その後、外部から指摘があり県教委が市教委に届け出を要請したが、県教委の担当者が書類の一部について社屋着工前の日付にするよう指示したため、実態と異なって、書類上は手続きは着工前に全て完了したようになった。  市教委は取材に「法の仕組みをよく分かっていなかった」と釈明し、県教委は「あってはならないことで、申し訳ない」と説明している。県教委は経過を確認し、担当者の処分を検討するとしている。文化庁は「文化財保護行政の基本が守られていない行為」と批判している。  同法は、遺跡内で工事をする場合は全て、事前に県教委に届け出るよう義務付けている。県教委は、遺跡の状況などに応じて必要な調査や保護の方法などについて知らせる仕組みになっている。  県教委、市教委などによると、同遺跡群内の敷地に新社屋を計画していた企業は2011年4月、市側と建設について事前協議をした。企業側が同法に基づく届け出の必要性を質問したところ、市教委の担当者は、市教委が02年度に一帯で試掘調査を実施していたことから「既に調査済みで届け出は不要」と回答した。試掘調査がなされた場所でも届け出は必要で、市教委担当者の勘違いだった。企業は12年2月14日、無届けのまま敷地の造成を開始した。  しかし、4月2日、一般県民から県教委に「遺跡内なのに、無届けで工事が進んでいる」との通報があり、県教委は市教委側に届け出をするよう指示した。  市教委は民間企業に対し、事前協議を行った「11年4月13日付」の届け出の作成を指示。「和田原遺跡群内は慎重工事が必要」とする意見書とともに12年4月13日付で県教委に提出した。この手続きについて、市教委は「(担当者が)企業が届け出の意思を示していた事前協議の日付にさかのぼるのが妥当と判断したとみられる」と説明している。  一方、届け出と意見書を受理した県教委の担当者は、意見書の日付を同2月14日の着工前に訂正するよう指示。市教委は日付を「12年2月6日付」に変え、再提出した。  無届け工事があった場合は、県教委は関係者に顛末(てんまつ)書を提出させ、遺跡の破壊状況を報告させる。今回は日付を変更したことで、そうした事後処理の手続きはなされていない。届け出日や調査日を実態と異なるようにした経過について県教委文化財・生涯学習課は「詳細はまだ調査中だが、無届け工事が明るみにでないためのつじつま合わせだった」とみている。  和田原遺跡群は小諸市南部の湧玉川右岸に広がる236ヘクタール。縄文から平安時代にかけての遺跡で、発掘調査では弥生末期から平安時代の土器や鉄器が見つかっている。  文化庁記念物課の近江俊秀・文化財調査官は「あってはならない行為で、県教委は遺跡内の開発者を監視・監督する立場なのに、問題がある」と指摘している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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