学校法人「才教学園」が松本市で経営する才教学園小学校と才教学園中学校で、教育職員免許法に違反して教員免許のない職員に授業をさせるなどしていた問題で、同学園の山田昌俊理事長(校長)らが20日午後に記者会見し、「児童生徒、保護者など多くの方に多大な迷惑をお掛けしたことをおわびする」と陳謝した。一方、松本署は同日、同法違反の疑いで学校関係者から任意で事情聴取し、捜査を始めた。 県は同法違反を理由に、本年度の同校への補助金のうち、12月と来年3月に支払う予定だった計約1億500万円の支給停止を決定。同日午後に県庁で記者会見した県情報公開・私学課の久保田俊一課長は、2005年度に開校して以降、同学園に交付した補助金約6億1千万円も「返還を要請するかどうか検討する」とした。 同課などによると、同学園は教員の補助として雇った教員免許のない人に補助の域を超えて授業をさせたほか、中学校の数学の免許しかない教員に小学校の国語を教えさせるなどしていた。同学園によると、開校当初から延べ64人に違法な教え方をさせ、本年度の1学期も両校の教員計46人のうち11人に違法な教え方をさせていた。 また、同課によると、開校以来、毎年5月に県に提出する「学校現況調査」に、実際とは異なる教員の名前や担当教科を記載。書類上は同法違反が分からない状態だった。同課は今後、学校現況調査と実際に使われている教員の時間割表を比較するなどし、より詳しく実態を調査する方針だ。 複数の教員から免許がないことを相談され、「大丈夫だ」と答えていたという松山治邦事務長(理事、教頭)は会見で、「法律に違反するとは知らなかった。私の認識不足だった」と釈明した。同学園は山田理事長と中野茂保理事(副校長)、松山事務長の3人を減給処分とする方針を示した。 文部科学省教職員課は「学校で複数年にわたって複数の教員が同法に違反していたのは極めて異例」としている。 同学園は15年度の高校新設を目指し、県に設置認可を申請している。県は今回の問題を受け、申請を取り下げるか、継続するかの判断を同学園に求めた。同学園側は「今後検討する」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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