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上田・浦里小火災から1年 願う「輝く学校」

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 上田市浦野の浦里小学校で校舎など5棟を全焼した火災は、5日で発生から丸1年になる。火災後に図書室や音楽室として使っている特別教室棟が建ち、現在は全校で82人の子どもたちが元気に学校生活を送っている。一方で失火か放火かは今も特定されず、住民は不安が消えない。地元の消防団や四つの自治会はそれぞれ、節目の日を機に夜間の見回りを実施。消防団に新たに入った若者たちもいる。  4日夜、市消防団第18分団の4人がポンプ車に乗り、同校周辺を鐘の音を鳴らしながら回った。その1人、会社員宮沢直人さん(21)=上田市浦野=は同校卒業生。昨年11月、同分団に入った。それまでも誘いはあったが「体力に自信がない」と断っていた。母校の校舎が焼け落ちるのを目の当たりにし、「何もできなくて悔しい。できるだけのことをしたい」と思った。  同分団には火災後、宮沢さんら20~40代の8人が入団し、現在は81人に。宮沢さんは「今度何かあった時は役に立ちたい」と話した。今回の見回りは5日夜まで5日間。4自治会はそれぞれ今月下旬まで続ける予定だ。  全焼した北校舎には1~3年の教室のほか、図書室、理科室などがあり、図書や実験器具をはじめ多くの物品を焼失した。市は4100万円余をかけて軽量鉄骨平屋の特別教室棟などを新築。同棟に音楽室や図書室などを設け、本年度から使っている。  地元住民らが火災後に結成した「浦里小学校を支える市民の会」に寄せられた募金は約1700万円。図書館の本と本棚、楽器などを買って寄付してきた。今後は花壇や庭の整備に取り掛かる予定。会員で同校学校運営協議会長の中沢清人さん(73)=同=は「全国からたくさんの支援をいただき、不便さが解消されてきた」と話す。  上田署と上田広域消防本部は失火と放火の両面で今も捜査を続けている。北校舎と旧管理棟の間にあるトイレの北西側を出火場所とみているものの、燃え方が激しかったため、原因は特定できていない。放火を疑わせる情報も複数寄せられたが、捜査の進展にはつながっていないという。地元の70代女性は「今でも消防車のサイレンの音を聞くと、胸がどきどきする。夜もよく眠れないので早く解決してほしい」と訴える。  浦里小の児童数は減り続けているため、市教委は1981(昭和56)年以降、周辺校との統合を検討すべきだとする方針を示してきた。近年は約2キロ離れた同市仁古田(にこだ)の川西小学校との統合を議論。ただ、地元住民の反対もあり、ここ数年は議論が進まず、火災後も変化はない。  同校は地域住民が運営に参加する「コミュニティ・スクール」として市教委の指定を受けている。本年度は児童数が10人減ったものの、来年度はほとんど変動はない見通し。市民の会代表の会社員小泉強(つよし)さん(65)=同=は「これからも地域全体で支え、少人数でも光り輝く小学校にしたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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