北佐久郡軽井沢町の軽井沢中学校に13日夜、東日本大震災で被災した岩手県大槌町の大槌中学校で奇跡的に被害を免れたグランドピアノが到着した。ボランティア派遣などを縁に大槌町を継続支援している軽井沢町が借り受けた。27日の軽井沢中文化祭の合唱コンクールで伴奏に使う。 ピアノが体育館に運び込まれると、教職員ら約40人が見守る中、3年の森木果菜さん(14)と音楽の岩村未央教諭(30)が軽井沢中校歌を響かせた。大槌町を春休みに家族と訪ねた森木さんは「大槌中と軽井沢中が、ピアノを弾くことでつながった」。岩村教諭は「大槌中は歌声が響く学校だと聞く。そのピアノで合唱コンクールができるのはすごくうれしい」と話した。 文化祭の後は、町保健福祉複合施設に移して展示する予定。小松雅人校長(54)は「大震災を忘れないように、両町の懸け橋として迎えようと生徒に話した」という。 大槌中は震災時、津波で2階床下まで浸水し、1階で火災も起きたが、2階のピアノは無傷で残った。2月に軽井沢町で講演した大槌中の鈴木利典校長(54)がその話題を紹介したことがきっかけで借り受けが実現した。 鈴木校長は「ピアノには生徒たちの思いが詰まっている。両町の交流が深まり、防災意識を高めることに役立ってほしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧