Quantcast
Channel: 信濃毎日新聞
Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

迫る濁流 危機一髪 台風18号 連休直撃

$
0
0

 16日、短時間に激しい雨を降らせた台風18号は、県内各地で土砂をえぐり、押し流した。鉄道や道路も寸断された。孤立した建物から助け出された人は「もう駄目かと思った」と青ざめた表情で語った。  ◇  下伊那郡阿智村伍和(ごか)の工場「タケダ化工」。工場裏手を流れる河内(こうち)川が一気に増水し、あふれた濁流が工場前の幅約5メートルの村道に流れ込んだ。工場は濁流に囲まれた状態になり、めりめりと音が響いた。次の瞬間、窓ガラスを破って濁流が流入。「高い所に上がれ」。声が飛んだ。  従業員の大下浩二さん(49)=飯田市上郷黒田=は現場近くの母親宅で当時を振り返り、「駄目かと思った」。  従業員からの119番通報で飯田広域消防本部は、救助工作車など計6台を出動させた。村道を挟んだ民家から長さ約10メートルのはしごやロープを工場に渡し、従業員たちはライフジャケットやヘルメット、命綱を身に着け、1人ずつ四つんばいになってはしごを渡った。  その一人、園原弘子さん(50)=阿智村伍和=は、自分に「頑張れ」と言い聞かせながらはしごを渡った。滑りやすく、手元を見るのがやっとだったが、救助隊員の「あと半分」の声を頼りに頑張ったといい、「渡りきった時はほっとした」と語った。  土砂が流れ出した三才山トンネルの上田市側出入り口付近(上田市鹿教湯温泉)。一時、乗用車3台が立ち往生したが、丸子消防署員らが3台に乗っていた計8人を救助し、いずれもけがはなかった。  長野市では午後になって千曲川の水位が急上昇。午後5時前、篠ノ井東福寺の赤坂橋付近で70代男性が川の中州に取り残されているのを通行人が見つけ119番通報した。救助隊員が駆け付けた時、男性は川の中で水面から出た木につかまっていた。隊員5人がボートで救出。男性にけがはなかった。  「水位が5分ほどで急激に上がり驚いた。男性が無事と聞き安心した」。現場近くで救出を目撃した長野市の前山稔さん(71)はこう話した。  土石流が流れ込んだ下水内郡栄村の村森林組合事務所は現場から約1・2キロほど下流。建物は壊れたが、幸い人はいなかった。土石流発生現場は、県北部地震で土砂崩落があった場所で、避難所に集まった住民からは、「またあそこか」との声も漏れた。(長野県、信濃毎日新聞社)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>