安曇野が歌詞の舞台とされる唱歌「早春賦」の誕生100年を祝い、作詞者吉丸一昌(1873~1916年)らを顕彰し、早春賦にあらためて光を当てる記念事業の一環で23日、吉丸作詞のオペレッタ「歌遊びうかれ達磨(だるま)」が安曇野市穂高交流学習センターみらいで上演された。同市穂高南小合唱部の児童がソプラノ歌手渡辺しおりさん(岡谷市)らと共演。かわいらしい小だるまの踊りを披露し、大きな拍手を浴びた。 ◇ ◇ 記念事業実行委員会によると、うかれ達磨は明治時代末に初演され、国内でオペレッタ上演が始まった初期の作品。少女たちが部屋でだるまを転がして遊んでいると、大だるまの置物から手脚が出て踊りだし、小だるまを呼び寄せて皆で歌う筋書きだ。 渡辺さんと6年の児童が着物姿で少女役を演じ、大だるまはバリトン歌手の井手守さん、小だるまは4、5年の児童が担当した。手作りの赤い帽子と衣装でだるまの格好をした児童は、元気に左右に跳びはねたり、回ったりした。 記念事業のメーンイベントの一つを見事に演じた穂高南小合唱部長の松下千紘さん(11)は「ちょっと緊張したけれどせりふもうまく言え、楽しかった」と笑顔。舞台を見た安曇野市豊科高家の介護福祉士時田岩江さん(71)は「子どもたちがかわいらしく、プロ歌手の歌声も素晴らしかった。衣装もよく考えてあり良かった」と感激していた。 吉丸は学生時代から「修養塾」をつくり苦学生を支援、東京音楽学校教授になってからは子どもたちのために「新作唱歌」を作るなど若者の育成に熱心だった。記念事業総合プロデューサーの西山紀子さん(安曇野市穂高)は「小学生が参加することで吉丸精神を生かすことができた。大成功でとてもうれしい」と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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