台風18号による今月16日の大雨の際、下水内郡栄村の中条川で起きた土石流について、北沢秋司・信州大名誉教授(治山・砂防学)は23日、流れ出た土砂は50万~60万立方メートルとの見方を示した。2011年3月12日の県北部地震の後、県が設置した砂防えん堤などが機能し、2キロ余り下流の千曲川に達したのはこのうち十数万立方メートルとみている。北沢名誉教授はこの日、県の調査に同行して現地を調べた。 中条川には、県北部地震の際の土砂崩落で100万立方メートル余りの土砂が堆積。台風18号の大雨でほぼ半分が流れ出たことになる。 北沢名誉教授は取材などに対し、県北部地震の後に県が設けた砂防えん堤や水の勢いを抑制する「減勢(げんせい)工」と呼ぶ施設などが土砂を抑え、下流域に大きな被害はなかったと説明。「(各施設の)効果は十分発揮できた」と述べた。 現地調査には、県や村などの担当者約25人が参加。崩落現場や中条川のえん堤などを見て回り、村役場で非公開で意見交換した。 県森林づくり推進課によると、えん堤や減勢工にたまった土砂は雪が降るまでに取り除き、水量が増える来春の雪解けに備える。えん堤の補強工事などについては、意見交換で出た意見を参考に進めるとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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