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銀行に7000万円返還要求 上田の会社再生手続き直前 融資回収

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 破産手続き中の上田市古里の建設会社「東信土建」をめぐり、民事再生手続き開始直前に八十二銀行(長野市)が融資の返済を受けたことで他の債権者が不利益を被ったとして、建設会社の破産管財人弁護士が同行に7千万円を返還するよう求める法手続きを地裁上田支部に行ったところ、同支部が支払いを命じ、同行は24日までに返還した。債権回収方法に関して債権者の平等性を確保する狙いから2004年の改正破産法で請求手続きは簡素化された。専門家や複数の金融機関によると、県内金融機関に返還請求があったのは異例だ。  破産管財人の弁護士によると、八十二銀行は今月中旬、返還を済ませた。同行はこれまでの経緯について「個別の案件には答えられない」(企画部)としている。返還された7千万円は今後、債権者の債権額に応じて分配される。  同支部の決定によると、八十二銀行は2011年3月23日、東信土建に対して手形貸し付けの手法で7千万円を融資した。同社の支払期日は翌12年3月22日。ただ、実際に同社が7千万円を返済したのは期日より1カ月近く前の同2月29日。それから12日後の3月12日に民事再生手続きが始まった。破産管財人弁護士によると、東信土建の当時の負債総額は約2億6700万円。その後、再建を断念し、昨年7月に破産手続きに移行した。  破産法によると、債務者(借金をしている者)が民事再生手続きの開始などで支払い不能となった日からさかのぼって30日前までの間に、支払期日が来ていない(支払う義務がない)債権を弁済させる行為は、一部の債権者を優遇する行為に当たり、債権者間の平等を害するとされ、破産管財人が返還を請求できる。  同弁護士によると、東信土建の債権者数は112で、ほとんどは上田市内外の下請けの建設関連会社。債権者名簿に同行が載っていないことに他の債権者から疑問の声があり、12年9月、返済した債権の返還請求手続きをした。  東信土建関係者によると、同社は上田市緑が丘の市立産婦人科病院(12年4月開院)の建設工事を受注し、市側から工事代金の入金があると同時に、八十二銀行にその一部から7千万円を返済した。関係者は「返済すれば新たな融資を受けられる約束になっていたため、早めの返済に応じた。返済時点では倒産するとは全く思っていなかった」と説明する。  地裁上田支部の決定によると、同行側は、7千万円は同病院の工事代金が支払われるまでのつなぎ資金(運転資金)として融資し、工事代金の入金と同時に弁済することで合意していたため、一部の債権者を優遇する行為には当たらない―と主張していた。  これに対し、地裁上田支部は、同行は他の債権者を害すると知りながら返済期限を前倒ししたとして今年8月、東信土建に7千万円を返還し、12年2月29日から年6%の利子を支払うよう命じる決定をした。同行は異議を申し立てなかった。(長野県、信濃毎日新聞社)


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