「いよいよリニアで活性化と思っていたのに」―。JR東海が飯田線の駅のうち、少なくとも5駅の無人化方針を地元に伝えたことが明らかになった1日、地元には動揺が広がった。利便性の低下を懸念する声や、安全面から駅員を引き続き置くよう求める声などが相次いだ。 駒ケ根駅の無人化が検討されている駒ケ根市。地域のイメージダウンにつながり、中心市街地の活性化にも影響が出かねないとして、市は関係機関と対策会議を開く方針を固めた。杉本幸治市長は、リニア中央新幹線の県内駅と飯田線の駅を接続させ、飯田線の活性化や駅前振興につなげたいと考えてきた。それだけに、「JR東海の提案は非常に残念」と語った。 リニア県内駅の設置が予定されている飯田下伊那地方では、下伊那郡高森町商工会の前島登志夫事務局長(62)が「リニア駅へのアクセスとしても飯田線は重要なのに、無人化は理解に苦しむ」と指摘した。 10月29日にJR東海側から説明を受けた上伊那郡飯島町幹部は「既定事実として無人化方針を説明し、市町村側の希望を聞き入れる雰囲気はなさそうだった」と明かし、「利用者の安全安心や地域振興にも関わる問題。駒ケ根市をはじめ上伊那広域で対応する必要がある」と話した。 駅の無人化は、日常的に利用する人への影響が小さくない。高森町の市田駅を利用する高校生は「駅で事故やトラブルが起きた時に駅員がいないのは不安」。飯田市へ行く際に同駅を使う下伊那郡豊丘村の田中一利さん(70)は「まだ高校生などの利用者も多いのだから残してほしい」と話した。 また、駒ケ根駅から伊那市内へ通う男子高校生(17)は「窓口で定期券を買えなくなるのは不便」とし、同市へ通勤する女性(47)は「運行状況を確かめたい時など駅員がいないと不便。初めての観光客も戸惑うのではないか」と心配していた。 飯田線では他に伊那市、飯田市の駅も無人化対象になる―との情報がある。伊那市の白鳥孝市長は「うわさには聞いている」。飯田市の幹部はJR東海からまだ説明を受けていないとした上で、南信州広域連合で対応を考える必要がある、と話していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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