上水内郡信濃町出身の小林一茶(1763~1827年)、一茶研究者でもあった荻原井泉水(せいせんすい)(1884~1976年)の俳人2人の遺墨を展示していた下高井郡山ノ内町の俳句資料館「湯薫(とうくん)亭」が今月閉館した。施設を管理し、来館者の案内をしていた人たちが高齢になり、運営が難しくなったという。 湯薫亭は2000年6月に、湯田中温泉文化保存会の事業として、かつて一茶や井泉水が滞在した湯田中温泉の旅館「湯田中湯本」の離れを改修して開館した。展示内容は、金子兜太・現代俳句協会名誉会長(埼玉県熊谷市)、一茶研究の第一人者で信濃毎日新聞朝刊1面で「四季の一茶」を連載中の矢羽勝幸・二松学舎大客員教授(上田市)らが監修した。 展示場は8畳二間で、「日本一小さな俳句ミュージアム」とPR。冬場以外は週4日開館し、湯田中湯本の経営者で館長の湯本五郎治さん(75)ら3人が、交代で来館者を案内していた。湯本さんは「小さな資料館だが一茶の遺墨を間近に見ることができ、一茶の人となりを説明するとお客さんは感銘を受けたようだった」と振り返る。 3人は70~90代になったため、これ以上の運営は難しいと判断して10日に閉館した。湯本さんは「短い期間だったが、私たちの使命は終わったと思う。一茶の生誕250年を一つの区切りにしたい」としつつ、「何らかの形で一茶や井泉水の顕彰に努力していきたい」とも話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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