小中学生や高校生から家族や友人と一緒に新聞記事を読んだ感想を募る「第4回いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)の入賞者が28日発表され、千曲市五加小学校6年の清水彩音さん(12)と佐久市中込中学校3年の池田航平君(15)が優秀賞を受賞した。ともに戦争体験者の証言や記録について書かれた信濃毎日新聞の記事を読み、命の重さ、戦争を語り継ぐことの大切さを感想につづった。 清水さんは、戦争の被害者と加害者の証言を写真集にまとめたフォトジャーナリストを取材した記事「加害と被害消えぬ記憶」(8月13日付)を読んで応募した。 清水さんは2007年に父親を病気で亡くし、臨終に立ち会った。記事中にある数々の死についての証言に触れて当時を思い起こし、「幼いながら父の死にゆくさまを自分の目で見て死を受け入れました」と振り返った。記事については母親と意見交換。「目を背けると命の大切さを伝えていけない」とし、戦争や東日本大震災について「真実を伝えるべきだ」と提言した。 「父は生きたくても生きられなかった。人と人が殺し合う戦争はとても悲しい」。今後は戦争体験者に話を聞き、伝えたいと考えている。 池田君が読んだのは、旧大日向村(現南佐久郡佐久穂町)出身の元満蒙(まんもう)開拓団員の手記について書かれた記事「棄(す)てられた民残された記憶」(8月15日付)。襲撃の危険、寒さ、飢えと闘いながら開拓団員が引き揚げる様子が引用されている。 池田君は、教師だった曽祖父と共に朝鮮半島や旧満州(現中国東北部)に渡った祖父から当時の話を聞いていたため、記事が目に留まった。命を落とした子どもは埋めることしかできなかった―との記述についてあらためて祖父に聞いたところ、「全く同じような光景を見た」と話してくれたという。 「実際に体験した人の話は重みがあった。身近な人が大変な状況を生き延びて今の自分がいるんだと、命の大切さを実感した」と池田君。「自分の子ども、孫にも語り継ぐ」と決意をつづった。 両記事とも本紙文化部・吉尾杏子記者が書いた。 同コンクールは、全国の小中学生、高校・高専生から3万2774点の応募があり、最優秀賞3点、優秀賞30点、奨励賞149点を選んだ。 県内からは他に、飯田市浜井場小学校4年の藤木美瑚(みこ)さん、木曽郡南木曽町南木曽中学校1年の茶原奈々さんが奨励賞を受賞。愛知県一宮市末広小学校5年の祝子(ほおり)温(のどか)さんは長野県内の旅行先で手にした信濃毎日新聞の記事を読んで応募し、奨励賞に選ばれた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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