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建物の解体・改修で石綿飛散の恐れ「届け出義務知らぬ」7割

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 学識経験者らでつくる「アスベスト平成40年問題を考えるネットワーク」(理事長・鵜飼照喜信州大名誉教授)が長野、松本市の延べ床面積500平方メートル以上のビル所有者や管理者を対象に行った抽出調査で、近く施行する改正大気汚染防止法がアスベスト(石綿)の飛散の恐れがある建築物を解体したり、改修したりする際、工事発注者に自治体への届け出を義務付けていることを7割以上が「知らない」と回答したことが3日、分かった。  建築材料に使用され、中皮腫や肺がんの原因になるとされる石綿の飛散防止対策について、対策が先行する公共の建築物に対し、民間建築物では所有者の意識が低い実態が浮かび上がった。  改正大気汚染防止法は、石綿が使用されている建築物の解体や改修工事を行う際、発注者に自治体への届け出を義務化した。環境省によると、改正前は工事受注者が届け出ていたが、届け出が徹底されず、無届けで工事を進めるケースもあったため、発注者の責任を明確にしたという。  同ネットワークは8月、長野市と松本市にある延べ床面積500平方メートル以上のビル300棟を抽出し、質問票を送付したり、聞き取ったりして、87棟の所有者から回答を得た。石綿の飛散を伴う工事で発注者責任が明確化されたことについて、「知らない」が70・1%。「だいたい知っている」は26・4%、「よく知っている」は2・3%だった。  所有するビルなどの建築物に石綿が使用されているかどうかについては、「確認した」は28・7%。「確認していないがあると思う」12・6%、「使用されているとは思わない」32・2%、「わからない、考えたことがない」18・4%だった。  石綿は繊維状の天然鉱物で、安価な上に耐火性や断熱性に優れているため、高度成長期を中心に建材として多用されたが、2006年に原則使用が禁止された。石綿が使われた建築物の解体ピークは耐用年数などから28年(平成40年)ごろになるとされ、対応しなければ飛散のリスクが高まる可能性があり、「平成40年問題」と言われている。  鵜飼理事長は「意識調査の結果、民間の対応が進んでいない実態が分かった。飛散防止対策をしなければ、今後、石綿を原因とする中皮腫などでの死者が増える可能性がある」と指摘している。  調査の結果は、同ネットワークが5日に長野市生涯学習センターで開くシンポジウムで公表する。シンポジウムは午後1時半から。入場無料。定員200人。申し込みや問い合わせは事務局(電話026・217・2448)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)


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