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誰でも監視の対象に― 「共謀罪」めぐり県内弁護士ら懸念

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 特定秘密保護法に盛り込まれた「共謀罪」の規定をめぐり、特定秘密に指定された情報を得ようとした人の仲間とみなされれば、誰でも監視対象になる可能性がある―との指摘が、自衛隊のイラク派遣への反対などに取り組んだ県内関係者らから出ている。現行の通信傍受法や、臨時国会で成立した国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法と連動して、電話や電子メールが無制限にチェックされかねないとの懸念もある。  「私の知人は誰でも捜査対象になりかねない」。社民党の元衆院議員山口わか子さん(79)=安曇野市=は、共謀罪の規定を問題視する。自衛隊の活動に批判的な市民団体や政党などの動向をまとめた陸上自衛隊の内部文書の存在が2007年に判明。その中に、山口さんが04年に松本駅前(松本市)で行った、イラク派遣などに関する演説の内容などが記されていた。山口さんは「思うことを言っただけなのにリスト化された」。  特定秘密保護法は25条で共謀罪について定めている。弁護士団体の自由法曹団(東京)で課題検証のプロジェクトを担当する田中隆弁護士は、実際に秘密を漏らしたり入手したりしていなくても、そのために話し合っただけで犯罪とみなされる可能性があると指摘。証拠集めに向けた監視強化に「お墨付きを与える」と話す。  山口さんは共謀罪の規定で「私と話しただけの人が監視されかねない」とする。  毛利正道弁護士(岡谷市)は、イラク戦争後の自衛隊の派遣差し止めなどを求めた訴訟に参加。当時、防衛省にイラクへの空輸実績を情報公開請求したが、出てきたのは黒塗りの文書ばかりだった。  「国は何でも秘密にする」とし、秘密が増えれば、特定秘密に接する公務員や民間業者が秘密を扱えるかを判断する「適性評価」の対象も増えると指摘。対象者本人の知人や友人について「問題がないかどうかを調べないわけがない」とし、同法は「盗聴や尾行を促進する」と懸念する。  田中弁護士は通信傍受法との連動も警戒。現在は薬物犯罪など4分野に限って電話やメールの傍受を認めているが、対象とする犯罪に秘密保護法違反が追加されれば「全てが秘密のまま、あらゆる人を監視する口実に使われる」。  全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)事務局長の新海聡弁護士は、米国家安全保障局(NSA)は各国で通信傍受などにより情報収集をしていると説明。日本版NSCは今後、外国の諸機関と情報交換していくことから、「特定秘密保護法施行によりNSAのルートで情報を集めやすくなる」とみている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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