松本市の松本駅前にある商業ビル「congloM(コングロエム)」の1、2階に来年2月、大手予備校、代々木ゼミナール(東京)の系列「代ゼミサテライン予備校SN松本校」が開校することが16日、分かった。同ビル近くには河合塾(名古屋市)と協力関係にある松本大学予備校と、駿台予備学校(東京)と提携する信州予備学校があり、大手関連予備校の集中で生徒の獲得競争が激しくなると予想する声が出ている。 サテライン予備校では、代ゼミ人気講師の授業を映像で提供。生徒は都内で行われた授業などをディスプレーで個々に視聴する。埼玉県熊谷市の代ゼミ提携会社が運営し、松本校では生徒の募集を始めた。同社は「具体的な事業内容は後日説明する機会を設ける」としている。 既存の予備校2校はcongloMビルからほぼ400メートル以内=地図。代ゼミ側の動向を注視しつつ、それぞれの特徴を強調している。 信州予備学校の外山郁薫(いくまさ)事務長は映像を使った授業を「魅力的」としつつ、「生徒に合うかどうかは別問題」。進路指導などの担当教員を各生徒に付ける自校の運営方式を挙げ、「映像による授業ではないものを期待する生徒がおり、信頼を得てきたやり方を全うする」と話している。 松本大学予備校の高橋一彦校長は「懸念は特にない」。同校でも河合塾の授業を視聴できるが、補助的な設備との位置付け。「物足りない生徒が、生の授業を受けようとこちらに来るような良い効果を期待したい」とした。 松本市の塾経営の男性は「大手予備校のブランド力は高い」とし、「予備校間で激しい競争が起きる可能性がある」と指摘。少子化で、子ども1人に投じる教育費が増えていることが代ゼミ側の地方進出の背景にあるとみている。 congloMビル地下1階~地上2階は丸善松本店が入居。3~5階は中小型液晶パネル製造のジャパンディスプレイ(東京)が設計・開発拠点を置いているが、来夏をめどに閉鎖する方針で、地元商店街関係者には「駅前に若者が増えて、街のにぎわいにつながれば」(菓子店経営者)との期待もある。(長野県、信濃毎日新聞社)
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